プロジェクトについて

4次元統合黒潮圏資源學の創成プロジェクトは、海洋資源について1.沿岸域から沖合(1次元目)、2.黒潮流路(北赤道海流域-黒潮本流域-続流域)(2次元目)および3.水深(3次元目)という3つの次元で多角的な解析を進めるとともに、4.過去から現在の様々な時間スケール(4次元目)を加えた4つの基軸で理解しようとする點が最大の特徴です。海洋基本計畫における12の主要政策のうち、高知大學が得意とする「海洋資源の開発及び利用の推進」、「海洋環境の保全等」、「沿岸域の総合的管理」および「海洋に関する國民の理解の増進と人材育成」の4分野に焦點を絞り、以下に示した研究や教育を推進します。

活動報告

ごあいさつ

 太平洋を悠々と流れる黒潮は、高知に有形無形の數多くの恵みをもたらしてくれます。黒潮に寄り立つ高知大學では、黒潮圏に関する教育研究を、2004年にルーツを持つ総合人間自然科學研究科黒潮圏科學専攻において、また、2016年には新しく生まれ変わった農林海洋科學部の海洋資源科學科において、継続的に実施しています。

 本學の第3期中期目標期間の重點事項である「4次元統合黒潮圏資源學の創成」プロジェクトは、學內はもちろん、世界中の研究者に門戸を開いており、高知大學においてのみ実施可能な壯大かつ最先端の研究プロジェクトです。最大の特徴は3次元の空間的広がりに加えて、時間軸を4次元に組み込むことで、悠久の歴史の中での黒潮圏の成立ちまでを研究対象として捉え、その成果を総合的海洋管理に活かそうとするものです。

 文理融合の考え方を基盤とした最先端の成果を、世界中に広がるネットワークを通して発信し、我が國のそして世界中の教育?研究に大きく貢獻することを期待しています。(2019年3月)

高知大學 學長 櫻井 克年

 高知大學では,黒潮の恵みを受ける高知県という地域の特性から海洋研究を研究の根幹と考え、「4次元統合黒潮圏資源學の創成」を中心的な研究プロジェクトととらえて世界に通用する特色ある研究の推進と高度専門人材の育成を目指しています。

 平成29年度には海洋コア総合研究センターを中心に,「第七開洋丸」やJAMSTECの「かいれい」による調査航海が実施され、その成果として海洋鉱物資源探査や、海洋生物資源の性質の解明とその活用に関する基礎的研究の成果が蓄積されました。また,黒潮圏総合科學専攻(博士課程)を中心とした黒潮圏域の學術ネットワークの構築も進み,沿岸域の海洋管理に関する人材育成の拠點化も進みつつあります。

 平成28年度の改組により農林海洋科學部に設置された海洋資源科學科では,総合的海洋管理に関する新たな教育プログラムが実施され國費留學第1期生に対するより高度な専門教育の提供を目指しています。今後、高知大學の中心的な研究である本研究の発展を期待しています。(2018年3月)

高知大學 研究擔當理事 執印 太郎

高知大學は黒潮の恵みを受ける地理的環境の地に設置されており、海に関わる研究を推進して參りました。なかんずく、海洋コア総合研究センターは世界三大コアセンターである高知コアセンターに併設され、全國共同利用共同研究拠點として、世界の海洋コア研究をリードしております。
海洋に関する研究は、本學の第3期中間目標の要であり4本柱の中心に據えております。本年度スタートの「4次元統合黒潮圏資源學の創成」プロジェクトは、黒潮圏域の海洋資源の利活用に関する研究、総合的海洋管理學の創出や黒潮圏諸國をはじめ學內外の海洋人材育成を推進するものです。最大の特徴は黒潮圏域を三次元的に研究するだけではなく、橫串に時間軸を入れた極めて獨創的かつ21世紀の研究のひな形となすべき本學の挑戦でもあります。
本プロジェクトが、海洋立國を目指すわが國における國際的な海洋研究や黒潮圏域の文理統合型海洋人材育成の拠點として、大きく羽ばたくことを期待しています。(2017年3月)

高知大學 學長 脇口 宏

 令和2年度は「4次元統合黒潮圏資源學の創成プログラム」の5年次目となります。本年度は過去4年間で得られた各班の成果と、プログラム全體の目標との関連性を明確にし、最終年度に向けた本プログラムの取り纏めを実施しました。また、學部生および院生を対象とした4次元統合黒潮圏資源學の教科書出版に向けた準備を開始しました。一方、COVID-19の蔓延により制約を被った活動もありました。「1班:黒潮圏資源研究の推進」は比較的大きな影響を受けることはありませんでしたが、データ取得の機會が失われました。また、「II班:総合的海洋管理の體系化」では、平成28年度に人學した本學農林海洋科學部海洋資源科學科第1期生が新たに設置された農林海洋科學専攻海洋資源科學コースに入學し、研究者としての第一歩を踏み出しました。対面講義が困難な中、修士課程の共通科目である海洋資源學序論や、學部で開講している「総合的海洋管理(ICOM; Integrated Coastal and Ocean Management)」教育プログラムを、on-line授業により実施することが出來ました。一方、「III班:海洋 人材育成および地域産業創出」では、大學院博士課程の東南アジア留學生を主な対象として、総合的海洋管理のコンセプトを持った人材育成を進めてきましたが、櫻井克年學長や受田浩之理事の出席によりフィリピンで8月に開催を予定していた博士課程修了生を中心とした同窓會の設立記念式典が中止となるなど、本年度は國費留學生プログラム等の一部の計畫を実施する事が出來ませんでした。令和3年度はCOVID-19が収まり、外國との交流が再開することを期待します。

 特筆すべき本年度の研究成果として、長崎他の「Chronological distribution of dinoflagellate-infecting RNA virus in marine sediment core」を挙げることが出來ます。本論文は高知県浦ノ內灣から採取された柱狀の海底泥中に存在するウイルスに関する分子微生物學的な検出と多様性解析と鉛?セシウム年代測定を取り合わせ、RNA virusの時間変動を明らかにしました。本成果はvirusの時間変動を解析した極めてユニークな論文として高く評価され、環境関係の科學雑誌として高いIFのSTOTENに掲載されました。

 また、地域と密著した研究成果として、奧村他の深海寶石サンゴの年代測定研究が挙げられます。足摺沖から採取された枯れ木の深海寶石サンゴの14C年代が、本海域でサンゴ漁が始まった西暦1871年より古いことから枯れ木サンゴは人工的な攪亂ではなく、自然條件で枯れ木になったことが判明しました。本結果は、持続的寶石サンゴ漁の可否を判斷する際に大変貴重な情報であることから、Radiocarbonに掲載されました。

 本プログラムの達成目標に向けて令和3年度は最終年度となります。メンバー同が研究活動を一層進展させ、プログラムの目的を達成したいと考えています。(2021年3月)

 6ヶ年計畫の「4次元統合黒潮圏資源學の創成プログラム」は,折り返しを過ぎ令和元年度は4年次目となります。本年度は,黒潮圏の海底,海水,大気間の相互作用が支配する鉱物資源?生物資源等の形成過程と,それらの4次元変遷史の解明を推進しました。本プログラムのもう1つの柱である総合的海洋資源管理の體系化および海洋人材の育成では,昨年度から継続して,既存のプログラムと連攜して活動を進めました。また,個人研究が4次元黒潮圏資源學の一ジャンルとしてどのように位置づけられるかを確認する目的で,2020年2月に第2回全體発表會を開催しました。前年度実施した外部中間評価委員會で,プログラム全體の方向性が明確に伝わらないとの指摘を受けましたが,この発表會では4次元黒潮圏資源學創成を強く意識した個人研究成果が発表されました。

 研究成果発表後の総合討論では,マイクロプラスチックを生物體內に取り込む底性有孔蟲を利用した環境汚染対策の可能性,負の資源を有用資源とする「ヘドロからエビを育てる」取り組みなど,新たな資源の可能性について議論しました。さらに,プログラム最終成果の1つとして,2021年度から學部/大學院講義での使用を目指し,4次元黒潮圏資源學のテキストを作成する事が議論されました。 特筆すべき本年度の研究成果として,海底面での15年間に亙る現場沈殿実験結果から,1-數μm徑の球菌狀の不定形粒子の海水起源の鉄-マンガン鉱物が,黒潮域水深900-1,500mの海底に設置した陶器等の表面に,1mm2あたり年間1,000-10,000個形成されていたことが確認されたことが挙げられます。本結果はマンガン?ノジュールの現場成長実験であり,高く評価されScientific Reportに掲載されました。また,黒潮流路に近い九州?パラオ海嶺の北端から掘削された試料の精密解析から,過去3,000萬年間において最も溫暖な時代であったとされる中期中新世について,連続的な北太平洋の海洋環境変動を復元できる可能性を指摘しました。2つの研究は黒潮圏における資源形成と形成環境の変遷史をテーマとした研究と言えます。

 本プログラムの目標達成に向けて2020年度は研究活動では実質的に最終年度と言っても過言でありません。メンバー一同が研究活動を一層進展させ,プログラムの目的を達成したいと考えています。(2020年3月)

 平成28年度から6ヶ年計畫で開始された文部科學省特別経費「4次元統合黒潮圏資源學の創成」プロジェクトは、本年度末で折り返しを迎えます。そこで、これまでの成果を纏め、プロジェクト後半の活動に活かす目的で、2018年11月6日に中間成果報告會を開催しました。報告會では、今年度の成果を含め、過去の研究成果および教育実績が発表されました。それらの中のトピックスとしては、1)海底マンガン鉱床の基礎研究(形成モデルの構築、マンガンクラストの微細層序學の確立、マンガンクラストの広域的?局地的な分布実態と産狀の把握)、2)古ウイルス學の提唱、3)室戸海洋深層水飲料による腸內環境改善効果の研究、4)黒潮の時空間変動と古環境変動の研究、5)黒潮圏総合科學専攻との連攜による黒潮圏の持続型社會形成を目指す海洋人材育成が挙げられます。

 本報告會には、學外の海洋資源學有識者として高橋正征東京大學名譽教授、西村昭産業技術総合研究所名譽リサーチャー、中原祐幸海洋産業研究所常務理事をお招きし、成果報告をお聞き頂いた後に、プロジェクトの中間評価を依頼いたしました。3名の委員からは、プロジェクトの目的を達成するため取り組むべき幾つかの項目をご指摘いただきました。それらは、1)黒潮圏資源學が対象とする資源とは何か、また多岐に亙る資源の研究?開発の方向性を、より明確にすること、2)3つの班は獨立して研究?教育を実施しており、黒潮資源學を創成するために求められる、各班相互の関連性が希薄であるため、資源學の全體像が明瞭でない、3)「総合的海洋資源管理の體系化」および「総合的海洋管理人材の育成」と黒潮圏資源學の創成との関連性を明確にすること等でした。これらのご指摘を後半3年間の活動に活かし、プロジェクトの目的を達成したいと考えています。なお、外部委員による中間評価結果の詳細はHPをご覧ください。(2019年3月)

 「4次元統合黒潮圏資源學の創成フロジェクト」は2年目(平成28年度から平成33年度までの6ヶ年プロジェクト)を迎え、各班はそれぞれの目標に沿って研究?教育を精力的に進めています.本プロジェクトの開始以來、“4次元とは何か”との質問を多くの方から受けました.4次元とは、①沿岸域から沖合の黒潮域(1次元目)、②黒潮圏(北赤道海流域、黒潮本流域、続流域)(2次元目)、③水深(3次元目)、④過去から現在の様々な時間スケール(4次元目)を意味します.本事業の目標は、4次元的視野で黒潮圏の海洋資源を理解することです.4次元統合黒潮圏資源學は、海洋環境を賢く護りながら利活用することに資するのみならず、將來の資源動態の予測、さらに持続的利用を実現する「総合的海洋資源管理」の體系化に大きく貢獻するものと期待されます.また、黒潮流域周辺各國の大學院生を対象に,文理統合型視野を併せ持つ総合的海洋管理を擔う人材の育成も併せて目標とします. 具體的な事業項目は下記の通りです.

I. 黒潮圏資源研究の推進
1. 海底鉱物?エネルギー資源の基礎研究
 (海底鉱物資源、海底エネルギー資源)
2. 海洋生物資源に関する基礎研究
 (海底生物資源、海洋天然機能物質資源、
  水産資源、海洋深層水資源)
3. 黒潮の時空間変遷史の研究
II. 総合的海洋資源管理の體系化
III. 総合的海洋管理人材の育成

 本年度から新たに2名若手研究者が加わりました.2人は微生物が海洋鉱物資源の形成メカニズムに大きく寄與しているとの観點から、新たな海洋鉱物資源形成像を探求する新進気鋭の研究者です. 今年度のトピックは、1)海底マンガン鉱床の基礎研究(形成モデルの構築、マンガンクラストの微細層序學の確立、マンガンクラストの広域的?局地的な分布実態と産狀の把握)、2)古ウイルス學の提唱、3)室戸海洋深層水飲料による腸內環境改善効果の研究、 4)黒潮の時空間変動と古環境変動の研究、5)黒潮圏海洋科學研究科との連攜による黒潮圏の持続型社會形成を目指す海洋人材育成等です. 本プロジェクトは來年度が3年目となり、プロジェクト折り返し時點の內容および実績が問われることになります.4次元統合黒潮圏資源學の創成に向け、プロジェクト參加研究者一度邁進致します.(2018年3月)

わが國は、國土面積の約12倍、世界第6番目の面積を誇る広大な排他的経済水域(EEZ)を有しています。このEEZは多種多様な資源が未利用の狀態で存在する可能性を秘めた最後の資源フロンティアです。EEZの管理は當該國に託されており、わが國では平成25年に改定された海洋基本計畫において海洋の持続可能な開発及び利用を推進するのみならず、海洋環境の保全との調和を図ることを謳っています。
高知県南方に広がる西太平洋には、西岸境界流の代表である黒潮が流れており、多様な海洋資源を育んでいます。特に高知県は海洋資源のみならず気候や文化等へ黒潮から多大な恩恵を被っており、本學は様々な海洋政策の研究や推進に最適な立地と言えます。
高知大學第3期中期目標で特色として掲げられている「海洋に関する異分野融合研究や學際的教育」の推進の一環として、平成28年度から平成33年度までの6ヶ年度にわたり「4次元統合黒潮圏資源學の創成」を実施することになりました。(2017年3月)

海洋コア総合研究センター 徳山 英一

「4次元統合黒潮圏資源學」とは

黒潮圏を舞臺にした統合型「海洋資源學」の創成

「4次元統合黒潮圏資源學」とは
  • 1次元:高知沖(沿岸~沖合)
  • 2次元:黒潮流軸&続流域
  • 3次元:水深

高知沖における様々な時間スケールで黒潮圏海洋資源を知る。4次元:時間スケール過去から現在の様々な時間スケールの海洋資源を知り、使い、維持管理する。そして、將來の資源動態の予測をおこなう。

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